2009年2月23日月曜日

動きのウナリ

日本タンゴ・アカデミーの懇親会にお邪魔しました。


ダンス関係者があまりいないグループですが、
それだけにタンゴに対して様々な見方があって興味深いことが多いのです。
「踊り」という存在は、ある意味とても尊重されていて、ある意味とても敬遠されているようです。

有名人がいすぎて、本来とても恐縮しておるべきところでもありました。
始めに乾杯をしようとしたテーブルには、小松勝・真知子夫妻+SAYACAさんという顔ぶれ。
となりのテーブルには、グロリア米山さんとお仲間のみなさん。



いくつか興味深いお話をしましたので備忘録です。


1.”スペイン語”の壁が大きい。

ある方とお話をしたときに、こんな話をしてみました。

そもそも日本語に訳すということの労力が大きく、
タンゴの歌を日本人が理解するということは大変大きな壁がある。

即興性を重んずるサロンダンスでは、本来”曲”を聴いて即興で踊るところですが、
日本では、やはりスペイン語の歌詞がそのまま解釈できずに、”演奏”だけを聴いて即興してしまいます。


2.タンゴはウナリだ。

上の話とミックスすると大変興味深いことになります。

ちなみにウナリというのは、多分小学校とかで習っているはずですが、
楽器の調弦をする時の音叉がウワンウワンとなるやつです。

”周波数”のとても近い音が重なるとウナリになります。
とてもピュアな音に乗った、音のウナリがダンスの動きの一つの表現に変わります。

たとえば個人的には、バイオリンや声が作り出すウナリや、ベースの不協和なウナリなんかはとてもダンスに大切だと思います。
サルガンのピアノが多少ずれていたのも、この効果を狙っていたのかどうか、定かではありませんが。


”リズム”のウナリもあります。理科の言葉を使うと、位相のウナリでしょうか。
じゃ・じゃ・じゃっと刻んでいるところに、半位相や1/4位相の裏拍が入り、そして、
その連続的でファジーな”ウナリ”が生まれています。

これも即興ダンスには欠かせない、動きの表現に変わります。

たとえば個人的には、やはり声の表現がこの要素が大きいと思います。

そして、この”声”の表現という物が、スペイン語の壁とも言えるわけですが、
”歌”の表現、なぜ歌手がここで溜めて、なぜここで弱くなるか、なぜここでウナッているのか、なぜここで眉間にしわを寄せているのか、などというニュアンスが分かると、もっとタンゴダンスは面白いのかなぁ、と勝手に思います。


3.古い録音がダンスに向いている


録音が古かったからダンスしやすかった、ということです。

裏返すと、
最近の澄んだ録音では踊りづらい。

私の個人的には、”サチッてる”音が心地よいのですが、これはまたそのうち、何が心地よいのか音を分析していきたいと思います。

BajofondoなどがStrah Violinを使っていたというエピソードは有名ですが、そこじゃないんですよねー

どなたか演奏をされる方で、古い(30年くらいの)録音を目指されている方をご存知ないでしょうかね?タンゴに限らず。