2010年11月17日水曜日

タンゴ寿司

今週いろいろ考えたことをまとめて、
タンゴ寿司を作ってみました。


1.はじめは、何だかモヤモヤとしていました。

タンゴの元となるものは、ブエノスアイレスの場末な港町で生まれたといわれています。

2.やがて、タンゴ寿司のしゃりの部分が生まれました。

ギターやバンドネオン、そして男と女を主人公として、タンゴとして形作られました。

3.タンゴ寿司が大きくなる糧となるネタができました。

劇場での演奏や、レコードの配布、歌詞の大衆化などによって、タンゴが普及しました。

4.タンゴ寿司はどんどん大きくなり、黄金時代を築きました。

ブエノスアイレスでは多くの人がタンゴを楽しみました。

5.タンゴ寿司は、今でも大きくなっています。

いまやタンゴはアルゼンチンだけでなく、世界どこへいってもあります。





外伝(日本編)1:タンゴ寿司は日本にもやってきました。

音楽、ダンス、それぞれの伝道師がやってきて、日本にも根付きました。

外伝(日本編)2:日本ではタンゴ寿司のネタが大きくなりすぎました。

日本ではみんなちょっと商売っ気が走りすぎました。

外伝(日本編)3:でも今ならきっと大丈夫!日本のタンゴ寿司をこうしましょう。

日本にタンゴの楽しみが伝わって、日本でもタンゴが普及していくかも。

2010年11月14日日曜日

ソウルのミロンガと東京のミロンガ

今週はじめにソウルに行ってきました。
3泊4日の短い旅行でしたので、3箇所しかミロンガに行けませんでした。

なるべく普段着のミロンガinソウルを見ようということになりました。

前日までタンゴウィークがあったことと、立て続けに香港でタンゴウィークがありソウルからダンサーが流出していたこと、2点があり、必ずしも普段着ではなかったことと思いますが、いくつか目についた差異があったのでインタビューを交えて分析をしてみました。

正直ソウルのミロンガがどんなところか、なにやらストイックに黙々と踊る人が多いらしいという噂を聞いていましたが、結果的にぜんぜんそんな感じではなく、一言でいうと、ブエノスよりもブエノス風な感じ?

そういえば、10年くらい前にファンギダがアーツシティをはじめた頃の雰囲気も、こんな感じだったかもしれません。東京のミロンガは今何故こうなっちゃったか?考え時かと思います。あるミロンガ主催者に言われていましたが、本当に危機感を持ちました。


A) 同じこと、違うこと

(同じだと思われること)
 +毎日ミロンガが開催されている
 +複数の場所でミロンガが開催されている
 +仕事帰りの人でにぎわっている

(必ずしも東京ではそうではないこと)
 +コルティナがかかる
 +タンダで類似した曲が分けられている
 +選曲は40年代~50年代がほとんど
 +入場料は1000円以下である
 +DJが誰であるか分かる
 +DJに薄謝を払っている
 +店長とオーガナイザーは違う
 +オーガナイザーとDJは違う
 +生演奏がない
 +デモがない(一部のミロンガではあるらしい)
 +英語で会話できる
 +男性が女性の前に行って踊り始める

(違うこと)
 +初心者が見当たらない
 +ぶつからない
 +ちゃんと反時計回り
 +追い抜かない
 +踊り終わったあとに、エスコートして戻る
 +明るい
 +全ての人が平等に同じ金額を払って入場する
 +ドリンクやスナックのセルフサービスではない
 +20代・30代がほとんど
 +カベセオに女性が応じる
 +女性は目線で合図を送ることがあっても、誘いにいかない
 +カップルで参加する人が少ない


B) 初心者が何故見当たらないのか?

そこで、居酒屋でソウルの熟練ダンサーに聞いてみました。
二つ理由がありそうです。

・初心者には8週間程度で基本を教わる、速習コースがある
・初心者向けのミロンガある

技術だけでなく Codigoを叩き込まれるらしいです。
だから、技術だけでなくそういうところを大事にするダンサーが多かったですし、だめなものにはNOと言える雰囲気がありました。
東京で踊っているのと同じように踊ると、ブーイングくらう事間違いありません。

ただし速習コースと言っても、ソウルには「タンゴの先生」という職業がないらしいので、ベテランダンサーが手取り足取り教えるらしいです。


C) 東京の言い分

とはいえ、東京はソウルのミロンガよりもいくつかの点で多様化が進んでいると考えられるので、
差異の要因となりそうな、ソウルと東京との背景の違いを、私の独断と偏見でピックアップしてみます。

・東京は物価が異常に高い
・東京には職業ダンサーが存在する
・東京は他の娯楽も高い
・パフォーマンスを楽しむ人が多い
・カップル化が進んでいる
・ダンススタイルが多様化している
・いわゆる黄金期以外の曲でも踊りなれている
・古典タンゴや新しいタンゴを普段から聴きなれている
・他ダンスとの交流が進んでいる
・社交ダンスのサロンが浸透している
・時間とお金に余裕のある定年後の世代が多い
・時間とお金に制限のある主婦が多い
・タンゴ楽団が多い
・DJというよりCDをかけ流すミロンガが多い


D) ソウルのダンサーに楽しんでもらえそうな東京のミロンガ

ソウルのダンサーに、東京にも踊りに来てくださいと言ったものの、
よくよく考えてみたら、ソウルの人が楽しめるミロンガって、東京にあるのかな?
と、思わず言葉に詰まってしまいました。名古屋がお勧めだよ。と思わず言ってしまいました。

・価格とスタイルが近いミロンガ
・デモや生演奏が入ったミロンガ
・プロの先生が開催しているプラクティカ

みたいなところを吹き込んでみましたが、
もっと開催趣旨などを明確に表記していくのは、私のようなカレンダー屋の仕事でもあるかなと。


E) ソウル化へ向けた個人的な提案

初心者向けの速習コース、
ぜひプロの先生方にもっと力を入れてほしい分野です。

速習レッスン、お知らせ頂ければ、カレンダーに目立つように掲載しますので
post@fantango.jp 宛か、mixi メッセージでお知らせください。

ベテランの方でも断片的に抜け落ちている Codigoの講義なんかウケルような気もします。



☆ソウルのミロンガ

ちなみに、足を運んだのは以下の3つのミロンガです。

1日目(月曜日) El Tango Cafe http://goo.gl/maps/5vBF
2日目(火曜日) Tango O Nada http://goo.gl/maps/XLgG
3日目(水曜日) El Bulin http://goo.gl/maps/jzNw
他に、Tangueria del Buen Ayre、Atanicheという有名なミロンガがあるそうです。

2010年10月15日金曜日

タンゴのDJに思うこと’2010

前置きはさておき、
タンゴのDJというのは、なかなか奥深い。


そもそも他人の心の奥底をのぞいて、
あそこで踊っている二人の踊りたい曲をかけてやろうなどと
おこがましい野望を抱いてはいけない。


曲と人を知る、そしてタンダを知るということではないかと、今は思う。



<曲と人を知る>


2008年のはじめに「バイラブレ仮説」というのを書いていた。

バイラブレ仮説
http://sacadaenborde.blogspot.com/2008/01/blog-post.html


ここで前置きで述べていることが、少し最近見えてきた。

「踊りやすい」という表現は主観的なミクロな概念であって、
本来一概にどれがどうという話は出来ないはずなのに、
なんとなく共通認識として「踊りやすい」というマクロな概念となる。


どういう人が、どういう曲を、どういう風に聞くか。

現象は少し具体化する。


今考えているのは、次の3つ。

1.適度に、単調な曲




まったくの初心者はメトロノームが一番踊りやすいだろうが、
それなりに踊れる人は、複雑すぎず、単調すぎず。というラインに落ち着くだろう。


2.適度に、動きやすい曲





簡単のため、テンポだけの話にしている。
タンゴの曲平均的には、「半拍で一歩」「一拍で一歩」の感覚がとても大切だと思う。


3.適度に、聞きなれている曲


聞きなれていること。
というのは、それこそ完全に各人の経験なんじゃないかとも思えるが、
私はこう考えることにしている。

ある人があるミロンガに行くということは、
それなりに、そこのミロンガの選曲傾向が好きで、そのへんの音楽に聞きなれているものだ。


補足:日本のミロンガを見ると、このような3タイプがあるんじゃないか、という図。


この人は、あのミロンガでよく見かけるから、こっちの選曲が良いかもしれない。
でも、踊っている相手は、あちらのミロンガで見かけるなぁ。はて?どっちにするべか?

などと延々と思考を続けて、やがて考えが収束するようなところが、ねらい目だ。



<タンダを知る>

さて、短めにまとめるつもりがすっかり前置きが長くなってしまった。
なので、以下、尻切れ気味。


DJやタンダについての文献は多々あるのだが、
基本的なポイントは踊りと同じで、サプライズばかりじゃ疲れるし、無難すぎるのも飽きる。


最近いろいろ試行錯誤してみて、次のようなタンダの分類ができるのではないかと勝手に提案する。


1) Wake-up! Tanda(仮)


「そろそろ起きなさい」という意味を込めて命名。

靴を履いたり、体をほぐしたり、挨拶をしたり。
入場から15分は、なんだかんだ言って割と気分が乗らないもの。

そんな時にかけるタンダ。
あ!踊らなきゃソンソン。
動き出すきっかけになりそうな、会話を殺さない明るめの曲で、有名な曲を重ねるのがよさそう。

メロディ重視よりも、リズム重視の方がよさそう。



2) Transition Tanda(仮)

傾向を変えるときのタンダ。
で、命名。

違った傾向のタンダに速やかに移りたいときや、
生演奏・イベントなどが挟まるとき。

少し、今までと違うシグナルを混ぜる。

展開によって、選曲もいろいろ。
個人的にはトリオとかカルテットくらいの軽奏が好き。



3) Breathy Tanda(仮)

とにかく、動きたい!
そういう輩がいるかどうか。よく見ていないといけない。

いるなら、とにかくハァハァ言わせてしまおう。ほととぎす、ってことで時々使う。

カンドンベとか、速いワルツとか、フォエバータンゴやコロールタンゴみたい系統もこれかも。



4) Calm-down Tanda


しっとりと行きましょう。
メロディ重視の曲とか、30年代前半よりも古い感じ

エレクトリカなんかは、実は割りと落ち着いたりするので、使いどころかも。

生演奏の後なんかは、場合によっては一旦冷やす。



5) Collector's Tanda(仮)

日本だけじゃないと思うけど、
「今日は何だか持ってる曲ばかりで面白くないね」とかいう方がたまにいる。

そういう人には、基本的にコレクションでは適わない。
適度に、コレクター嗜好のミロンガでよくかかる選曲をちりばめよう。



6) Degeneration Tanda

縮退傾向のタンダ。とでも言うべきか。

そろそろムードを変えていきたい、とか、そろそろ客層を若めに。

などと狙っていくよりも、不本意にこういう事態が発生していることが稀に見られる。

明らかに、一部の客層の逆鱗に触れるタンダ、しかも4曲。
ということで、一部の人たちに、ほたるの光がかかっている気分にさせてしまうタンダ。



7) Last Tanda


ラストタンダは永遠に。

とにかく、残っている人向けに、とっておきの玉手箱。


個人的には最後にクンパルは大嫌い。
かと言って途中でもかけづらい。




具体例は、またの日に。

2010年7月31日土曜日

特別寄稿『ブエノス風ミロンガ』
日本のミロンガにカベセオを取り入れる試みについて。10TANGOリニューアル特別企画。


10TANGO.COMのリニューアルを記念し日本のミロンガの現在にカベセオ(Cabeceo)を取り入れる試みついて、日本でアマチュアながらイベント・オーガナイザー、ダンサー、ミュージシャンとしてタンゴ界を見つめる阿部修英氏が記事を特別寄稿。

【特別寄稿:ブエノス風ミロンガ】


タンゴを愛する皆様、こんにちは。

2010年7月31日に「ブエノス風ミロンガ」というミロンガを開催しました、阿部修英と申します。


「ブエノス風ミロンガ」は、第1回を今年3月1日に田園調布で開催し、今まで日本では馴染まないと考えられていた カベセオ(目で相手を誘い合う風習)をゲーム感覚で取り入れた新しいミロンガとして大きな反響を呼びました。今回は、さらに少し工夫をこらして、第2回です。


ミロンガというものはブエノスアイレスで生まれたものですが、何故わざわざ「ブエノス風」と呼ぶのか?という方もいらっしゃるかもしれません。それ から、そもそも今は多様化しているタンゴを「ブエノス風」などと一括りにするのは不勉強だという方もいらっしゃるかもしれません。


■『ブエノス風』とは?

この企画「ブエノス風ミロンガ」で表現したい「ブエノス風」なミロンガとは、ブエノスアイレスにおけるミロンガの風習のうち、敢えて日本では浸透し ないと考えられているものをゲーム感覚で取り入れたミロンガとお考えください。ブエノスアイレスで行われているものを、ただブエノスアイレスのものだから と受け入れるのではなく、何故それがブエノスアイレスで行われているかを皆で考えていきたいという意味での試行実験です。


日本でアルゼンチンタンゴと言えば、古くからタンゴ音楽・歌謡曲としてのタンゴ歌曲がクローズアップされ、一方でタンゴダンスといえば、そのような コンサートの途中で踊られる派手なショー的なタンゴが、圧倒的に多くの人に印象付けられてきました。もちろん、サロンとして踊られるタンゴもありました が、どことなく以前から日本人に馴染みがあった社交ダンスに似た様式やマナーが取り入れられてきました。アルゼンチンから持ち帰られた「タンゴ」は、それ ぞれの形で日本人にあった形で発展してきています。


近年の日本のミロンガを雰囲気で分類するならば、①小さな空間でホームパーティのような雰囲気を楽しむミロンガ。②お昼や夕方などに開催される、カ ジュアルな雰囲気で気ままに踊るミロンガ。③ホテルのラウンジやクラブなど、都会的な非日常を演出することでエレガントさを強調するミロンガ。①~③それ ぞれでドレスコードや雰囲気はかなり異なるものの、様式やイベント内容は画一的であり、マナーについては一概に海外に比べてかなりラフです。選曲について はタンダやコルティーナを組まないミロンガが一般です。


あまり評判の良くないマナーに関して、海外から来るダンサーが困惑することの一つに、ミロンガにおけるダンサーの誘い方があります。日本では、海外 のどこのミロンガでもあることですが、誘う際に相手の目の前まで行って誘います。ただ日本人の性格的な問題もあるのか、踊り相手から誘われても「お断り」 することは稀です。それだけに、基本的に断られないことを前提に行動するダンサーも多く、場合によっては承諾も得ないまま相手の手をとって踊り場まで引っ 張って行ったり、目の前でOKするまでずっと待っていたりする場合もあります。このようなこともあり、誘うときには一般に必ずしも誘われた側が希望する相 手ではなくても踊りが成立しています。また、踊り終えた時に女性をエスコートして帰るようなことも稀です。


近年、日本のタンゴ演奏者やタンゴダンサーが海外でも活躍すると共に、ブエノスアイレスなど世界のタンゴについての情報が日本にも詳細に伝わってく るようになりました。私の身近にも、タンゴの全体像や本質、演奏についての好みや曲の歴史についての議論、そしてミロンガについても、選曲、誘い方や踊り のスタイルやマナー、服装、雰囲気などについてなど、より多様な目線で良い物を追求しようという機運が高まってきているようです。




■カベセオ


そんな中、「ブエノス風ミロンガ」が「踊りたいと思う曲を、踊りたいと思う相手と踊れるような仕組み」として注目したのが、ブエノスアイレスの一部のミロンガで採用されているカベセオという合意のプロセスでした。

+「ブエノス風ミロンガ」の舞台づくり

桑原和美先生がカベセオが行われる様を表現されています。

「部屋の隅と隅に座った男女が、赤い糸で結ばれているかのように近づいていき、踊り場でめぐり合う」

そんなロマンティックな情景を、私たちは思い描きながら、今回の舞台を作りました。

このミロンガでは、日本の通常のミロンガでは行われない風習カベセオを採用していることで、相手との接し方がいつもと大きく変わりそうです。カベセ オを如何に成功させるかということ、そしてカベセオで男女がめぐり合った瞬間を、如何に美しく演出するか?そこを徹底してこだわることにしました。

カベセオを成功しやすくするために「ブエノス風ミロンガ」では、日本のミロンガでは今まで見られなかった二つの工夫をしています。

一つ目は、座席を男性席・女性席に分けたという点です。かなり極端な座席になりますが、これはブエノスアイレスで実際に行われているミロンガのレイ アウトを参考にしました。二つ目は、日本独特のワイン置き場を男女別に配置した点です。ミロンガの片隅にワインやソフトドリンクなどが置いてあることは日 本ではよく見られて、海外ではあまり見られないことです。日本では、ダンサーの多くがワイン置き場にたむろして、そこでもまた断りにくい状況が発生してい ます。この2点で、踊るためには基本的に座席からカベセオをして誘わざるを得ない状況を作ってみました。ただし、前回採用したモッソ(いわゆるレストラン におけるボーイ)については、人手がかかる割りに効果的でないという意見があり、今回は採用していません。


また、カベセオで男女がめぐり合った瞬間を美しく演出するために、次のような5つのこだわりを持ちました。

1.エスコート

今回はゲーム感覚での異文化体験を楽しんでいただくという目的で、カベセオが成立したら男性が近くまでエスコートしにいき女性を誘い、そして、踊り 終えた後にまた元の席にエスコートしに帰るということをルール付けました。後から知ったことですが、日本以外の海外のミロンガでは、このような光景は日常 的に見られるそうですね。

お客様が入場する時には、私どもスタッフが座席までエスコートさせていただきました。

2.選曲

選曲としては、Orquesta Tipica VictorのAdios Buenos Aires、Osvaldo FresedoのBuscandote、Jose Garcia の Esta Noche de Lunaなど、古典タンゴの中でも比較的明るい曲調で、日本の皆さんにも馴染みのある曲を中心にセレクトしました。コルティーナの長さとしては、エスコー トの時間を考慮して、少し長めの1分5秒(曲を1分+空白5秒)と設定しました。

3.色使い・明るさ・アート

日本では、ミロンガはできるだけ黒く真っ暗な部屋で行うものだと考えられていますが、カベセオがしやすい明るさを考慮して、部屋の中をシャンデリア に吊るされた白熱灯でやさしく灯しました。そして、明るくなることで目に入ってしまう、座席など会場の備品に、男性席側を黒、女性席側を赤、カップル席に 青という、色使いで統一しました。

4.一体感・距離感

カベセオを採用したミロンガにふさわしい一体感と距離感を醸し出すための空間作りに徹してみました。踊り場の四方を机で囲い、その距離は出来るだけ近く、男女が見つめあいやすいようにしました。

5.サロンのエチケットに関するルール

最近、日本ではダンスのエチケットに関する議論が盛んになっていますが、今回のミロンガでは敢えてエチケットに関しては言及せず、自然にみなで作り上げる雰囲気を大事にしました。必要あれば次回以降にルールを設けようと思っていましたが、結果的には必要なさそうです。


■ミロンガの様子


ミロンガには主旨をご理解いただいた60人もの皆さんが遠路はるばる駆けつけて下さいました。


一番のイベントにおける懸念点であったカベセオについてですが、「カベセオをする」という意識をもちさえすれば、日本でもカベセオが成立できるということが分かりました。その点では成功と言えると思います。


ミロンガにて今回の企画についてアンケートを実施し、回収率は約50%でした。多くの方が、あのようなミロンガもあって良いかもしれないという意見をお持ちでした。


肯定的な意見としては、カベセオのお陰で踊ったことがない方とも踊ることが出来た、あのシステムのお陰か分からないがフロアーマナーがそこそこ良かった、 「カベセオ」というと誇張しすぎだけれどその精神を活かした方法を取り入れていくと良いかも、席があると落ち着く、フロアー全体が明るくて良かった等々。 否定的な意見としてはやはり誘いずらい、目が合わない、対面はやり過ぎでは、踊る場所が狭い、会議室の机はムードがないというもの。が挙げられました。カ ベセオでなかなか目が合わなくなることについて、「断られた」と感じる方もいれば、カベセオ自体が「難しい」と感じる方もいました。多くの方から、慣れる ことが重要だという意見が得られました。


最近、コルティーナを採用するミロンガが増えてきて、次のような事態が発生してきました。コルティーナで一旦踊り場から座席に戻ることは良かったの ですが、そのタイミングでお目当てのダンサーの元に殺到するようになりました。このような状況に秩序を齎すためにはやはり、カベセオに限らずともカベセオ に見られるような男女双方から合意を得て踊り始めるという心構え、があれば良いなと、一人のダンサーとして思います。そして今後、日本のミロンガでカベセ オが成立するようになるかは分かりませんが、男女が心地よく踊るために、少なくとも合意があるのはもちろんのこと、踊る相手への敬意や共感などがミロンガ 全体に溢れ出すようになると素敵だと思います。次回の「ブエノス風ミロンガ」では、そのような雰囲気を探求していきたいです。





■これからの可能性


今の日本のタンゴにおいては、おおまかに3つのタンゴ普及活動があると考えています。

1つ目は、タンゴへの間口を広げていこうとする活動。このような活動は今活発に展開されていて、既にとても多様なものがあり、どんどん芽を出している活動があると思います。


2つ目は、選手権やパフォーマンス発表会など、技術論や方法論を成熟させる目的の活動です。これらには、明確な共通の指標があって、これに向けて今 多くのダンサーが技術の習得に励んでいます。2年連続で世界チャンピオンが生まれるなど、その活動は世界でも着目されています。


3つ目は、既にタンゴに慣れ親しんでいる人のため、継続的にタンゴを楽しむための土台を作ったり、新しい楽しみの創出をするような活動です。


日本のタンゴに足りないものは、この中で1つ目および3つ目の活動だと思います。特に3つ目の活動については、たくさんの人がタンゴに興味を持って くれた後にタンゴに根付いてくれるために重要な受け皿だと思いますし、それが今はまだ正しく機能していない面があると思います。だから今回のミロンガに関 しても、単にマナーやエチケットを改善したいということだけでなく、何故それを改善したいのか?ということを一人一人が考えていけることが大切だと思いま す。私個人の考えとしては、タンゴをもっと楽しもうとする気持ち、そしてタンゴ自体の面白さを追求していきたいという気持ちがあれば、それは自然に生まれ るものだと思いますし、それは必要以上に束縛を与えるものではないはずだと思います。そういう気持ちを持って、今後も着眼点を少しずつ変えながら、タンゴ の楽しさやエッセンスをアマチュアの立場から追求していけるように、企画を行っていきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

最後に、当日のお手伝いや沢山参考になる情報をいただきました BakutangoのBakuさんTeresaさん、当日のお手伝いやいくつもの建設的なアドバイスを頂きましたサニーさん、ブエノスアイレスからカベセ オに関する動向や雰囲気に関する貴重なアドバイスを頂きました Tangueros Unidos のチノさんミホさん、そして妻の朋子に、この場を借りてお礼申し上げます。


文責:阿部修英



阿部修英氏: 
コミュニティ『fantango.jp』 を主宰。fantango.jp では、日本から世界23ヶ国語で、タンゴを踊る人、弾く人、歌う人のための情報を発信する。
日本では、東京を拠点にダンスの練習会やミロンガの開催、歌詞の勉強会やタンゴに関する座談会などの企画などを行なう。



2010年4月26日月曜日

聞くだけの人、踊るだけの人

ここのところ、日本タンゴ・アカデミーのホームページを作ろうというプロジェクト?に参画させていただいて、どのようなWebサイトが日本タンゴ・アカデミーにとって良いのであろうかと考えているところです。

私自身はどちらかというと「アルゼンチンタンゴを盛り上げたい」という漠然とした気持ちがあって、ここしばらくはその意思を幾許かのボランティア活動で表現しているのですが、一方で「日本タンゴ・アカデミーを盛り上げたい」ということになると必ずしも私のやりたい事とも限りません。

まずは「日本タンゴ・アカデミーとは何ぞや?」ということを追求せねばなりません。

飯塚氏(現日本タンゴ・アカデミー副会長)によると、「日本タンゴ・アカデミー」というのは次のような2つの側面があるということでした。一つには、日本には全国的な規模でタンゴ愛好家が募る愛好会が無い、という点があるという点。決して我等が総本山と称する気持ちは無いという点を強調しておられましたが、日本で行われている愛好家活動をいい意味で束ねる貴重なグループであることは疑いようもありません。もう一つとしては、タンゴの祖国、アルゼンチンでのタンゴ・アカデミー本家より、日本でもタンゴ・アカデミーを結成したらどうか?という助言があり、活動を続けているということです。現状、日本でのアカデミー活動は、アルゼンチンでのそれとはやはり人数も規模も違い他の団体との接点も少ないでしょうという点で、さらなる発展を求められています。ただ言えることは、「日本タンゴ・アカデミーを盛り上げよう」とする志は、一人の愛好家として「アルゼンチンタンゴを盛り上げよう」とする志としても大きな意義があるだろうと思い、お手伝いしていこうと決めました。

日本タンゴ・アカデミーのWebサイトについて、先日の飯塚副会長と執筆家の山本幸洋さんを交えた話し合いでは、短期的には日本アカデミーの活動自体を知ってもらう場、そして世界的にも有数のコレクションをライブラリとして提供する場とし、長期的にはもっと戦略的に演奏家・ダンサーなどを巻き込んで多面的に活動をアクティベイトしていく方向性ということで意見が一致しました。将来的には、様々なパーツに分かれて独立して発展していっている「タンゴ」というものを、決して一つの定義に限定せずに多様なタンゴを互いに補完しあえる立場というのが望ましいのではないかと思います。

その他いくつもの議題があり、とても一晩では語りつくせるものではありませんが、一つ、個人的に大切だと思われたことがあったのでメモ代わりにここに記します。

それは「日本タンゴ・アカデミーには聞くだけの人が多い」という事実についてです。アルゼンチンのタンゴ・アカデミーなんかはほぼ100%聞くだけの人だから日本もそれで良いのではないか、という意見もあるようですが、先ほど申しましたとおり、日本のアカデミー活動はもっと多面的でありたい。

聞くだけの人、その反対語は何かと言いますと、まぁ聞かない人だろうなどというへそ曲りな人はほっといて、踊る人とか演奏する人とかっていう感じです。聞くだけの人という種族には、音楽を聞いて、さらには文化的側面だけでなく経済的にも地理的にも政治的にも深く追求していく人がいます。

一方で踊るだけの人、赫赫という曲が何年にどういう時代背景の中で○○というレーベルでダレダレが出した、なんて情報は一切気にせずに、踊ります。踊る人には、踊る人なりの興味があります。聞くだけの人に比べると、踊るだけの人のタンゴへの思いのほとんどは観念的なものです。たぶん演奏するだけの人も、自分には深く分かりませんが、それはまた演奏者独特の視点があるはずです。三位一体、というのは、つまり三者の心を知るということだと思います。

日本タンゴ・アカデミーが、聞くだけの人以外にも、特に今増えている踊る人や演奏する人、やがては今までタンゴさえも聞いたことがないような一般の人をも巻き込んでいくために、そのような発想・視点を意識しておくべきだと思われます。

特に、聞くだけの人、踊るだけの人、大きな違いは能動性にあろうと思います。

今まさにタンゴを踊れる人、タンゴを演奏できる人、自分でやらないと気がすみません。

要するにレコードコンサートで聞くだけでは満足できません。たとえば討論やワークショップのように少しなりとも参加できることが大切だと思います。

聞くだけだったとしても、あわよくば自分の肥やしになるまで還元できればと思っています。どこまで会として親切にすれば良いか知りませんが、出来るだけ共通認識の出来る接点が増えると良いと思います。

また、いくら共通認識を追及しようとしても、元々文化的側面や歌詞などを知らずとも踊りや演奏は可能ですし、それを知っているかと言って各個人がよりハッピーなタンゴを追求できるとも限りません。大切なのは、固執せず、強制せず、否定せずに、立ち位置を明確にしていく事だと思います。

2010年3月6日土曜日

2500円ミロンガの薦め

いくつかタンゴイベントの価格帯について整理してみました。

どういうイベントが必要とされているか、何となく分かります。

1.タンゴイベントの価格分布
今のタンゴイベントを大まかに3種類に分類してみました。
※注:各線ごとの相対値だとお考え下さい。

2.タンゴダンサーの嗜好分布
その3種類の分類で、ダンサー歴に対するダンサー数の分布です。
1の図というのは、各タンゴイベントがどういうダンサーをターゲットにしているかという図なのか。

3.タンゴダンサーのライフライン(未完成)
これはまだ叩き台です。他にどんな人がいるんでしょう?
ちょっと緑の線なんか上の図が説明がつきませんな。


とりあえず、2500円という価格がこれからの一つの鍵なのかなと思います。
「踊り+α」を出せるかどうか。




主に1500円という価格帯を中心とした「踊り重視のミロンガ」
主に4000円という価格帯を中心とした「催し重視のミロンガ」
主に8000円という価格帯を中心とした「食事重視のミロンガ」

それぞれの住人はそもそもライフスタイルが全然違うので、重視する事柄も違っていて混ざり合う機会が少なく、

特に集客力のある催し重視のイベントで増えた初心者が、中級者~上級者になるに連れサロンから離れていく傾向にあるので、
2500円という価格のミロンガが今後の鍵を握っているのではないか、という仮説を立てました。

※2500円程度の入場料で行われているミロンガは既に沢山ありますが、ここでいう2500円というのは「1500円」的なダンサーと「4000円」的なダンサーを呼べるミロンガをイメージしています。

また、この日記では、こういうミロンガを2500円でやれば良いという類のことまで言うつもりは毛頭ありませんが、
何を重視して、どういうものを組み合わせてミロンガを開催していけばいいか、という参考になれば嬉しいと思います。



ミロンガの価格がどのように決まっているかを見るために、費用のかかる要因を考えてみようと思います。

まずミロンガという物を構成する最小限の要素を絵にしてみました。

ご存知のとおり、会場があって、DJがいて、水が適度に飲めれば、ミロンガになります。
オーガナイザーが誰で、会場がどこか。それだけで人が集まります。


※補足:「集客」「空間提供」「選曲」の3サービスを軸に書いています。



もっと一般的な形態を考えてみますと、次のようになります。

ミロンガ(サロン)は、会場やお酒などを除いてほぼ無形なサービス業だと思われます。

無形のサービス業であるから、集客面において、ブランドの意義は大きいと思われます。
オーガナイザーやダンスの先生、会の主旨や希少性・地域性、あとは人の出入りなどがブランド化して、前もって安心感のあるイベント作りというのが大切なんでしょう。


最後に、さきほどの3つの分類のうち、2つについて書いてみます。

踊り重視(1500円レベル)のミロンガ


催し重視(4000円レベル)のミロンガ


それぞれは重視する物を軸に、無駄を省いて最適化されて成り立っているものなので、
ここから単純に何かを足したり引いたりしていけば付加価値になるかと言うと、そうでもないでしょう。

たとえば、1500円のミロンガに、デモや生演奏を付けたからといって、
そもそも踊り重視の人たちが多く集まっているので時間の浪費になる可能性もありますよね。

1500円のミロンガに、4000円の人たち向けの要素を取り入れるのか、
4000円のミロンガから、1500円の人たち向けの要素に絞り込むのか、
もっと新しい視点で、1500円・4000円の人たち両方を取り込むのか、

どれが良いのか知りませんけど、
色んな可能性を目指すイベントがどんどん増えることを祈っています。

ちなみに、3月28日の「春の日ミロンガ」は2500円ミロンガを目指しています。(入場料は1000円ですが)



※以下は、おまけです。というよりまだ十分考えられていません。

「食事重視」というのはディナーショーのようなイメージですが、
ここからタンゲリーアのようなイベントを作るには何が足りないのでしょう。

食事重視(8000円レベル)のミロンガ


2010年3月2日火曜日

ブエノス風ミロンガ

ブエノスのミロンガってどんな印象ですか?


ブエノス風ミロンガに向けて随分前から想像を膨らませているのだけれども、
私はブエノスに一週間しかいたことがないので、正直あまり憶えていない。

しかも、私の行ったミロンガは、結構外国人が良く集まる観光スポットだということを後で聞いた。


そもそも、私が何故「ブエノス風ミロンガ」なるものを企画しているかというと、

1.「日本のミロンガ」は、「ブエノスのミロンガ」のどういうところが日本流にアレンジされてきたのか?
2.「日本のミロンガ」は、「ブエノスのミロンガ」に比べて、何が良くて、何が悪いのか?
3.「日本のミロンガ」に、「ブエノスのミロンガ」から、今後何かを取り入れられるのか?


という所をクリアにしたい思惑がある。

もちろん「ブエノスのミロンガ」と一重に言えるものではなく、おそらく歴史と共に多様化しているものだと思われるし、私はそもそもブエノス絶対主義ではないので、今どこかブエノスでやっている「ブエノスのミロンガ」の習慣やシステムをそのまま日本に取り入れても面白くないだろうと思っている。

ただ「ブエノスのミロンガ」と「日本のミロンガ」が違うということを意識しながら、少しずつ『違い』を吟味し、「ブエノスのミロンガ」のエッセンスを再翻訳する取っ掛かりとしたい。


また既に「ブエノスのミロンガ」を導入して練習会などを開催されている Kazukoさんのイベントなどもあるし、

これらは、今後「日本のミロンガ」がより個性を持ち、各所で棲み分けをやっていくための重要な試みだと思う。


Tokyo Milonga のサイトも、お読みください。
今回は、カベセオについて興味深い文章が載っています。

カベセオという名の挑発
http://www.tokyomilonga.com/2010/02/post-386e.html

Tokyo Milonga
http://www.tokyomilonga.com/


そんなことで昨夜、富士見会館で「ブエノス風ミロンガ」と称して実験的なミロンガを行いました。

小雨がちらつく中にも関わらず四十数人のダンサーで賑わいました。


踊る会であると同時に、

コルティーナ・カベセオ・モッソなど、日本ではあまり馴染みの無いシステムについて考えさせられる会となりました。


皆様にアンケートをお願いしたところ、現時点で15名(1~15と記載)から回答がありました。


以下、結果と頂いたコメント、及び僭越ながら一言考察を記載しております。



□自分の座席が決まっていることについて

快適だった 3 4 6 7 8 9 12 14
普通だった 1 2 10 15
不便だった 5 11 13
日本でやるべきだ 7 9 12
日本で有り得る 2 3 4 10 13 14 15
日本ではいらない

※コメント
7(入場者全員の席を用意するのは大変だけど楽で良い)


☆筆者談:概ね好評。ただし十分な席が無い場合に不満もある



□3~4曲ごとに同じような曲が連続で流れることについて


快適だった 4 6 9 10 12
普通だった 1 2 3 5 8 13 14 15
不便だった 7 11

日本でやるべきだ 2 4 6 9 10 12
日本で有り得る 3 13 14 15
日本ではいらない 7

※コメント
7(テンポが同じで飽きる)

☆筆者談:概ね好評。但し、選曲傾向やDJ担当などは「会」ごとに明記すべきであろうか。


□3~4曲ごと、タンゴ以外の曲を合図に座席に戻ることについて

快適だった 3 4 6 9 10 12 14
普通だった 1 2 5 7 8 13 15
不便だった
日本でやるべきだ 3 4 6 9 10 11 12
日本で有り得る 2 7 13 14 15
日本ではいらない

※コメント
7(1人の相手で4曲も踊れば十分)

☆筆者談:かなり好評。「会」として徹底すればうまく実現できそう。


□自分の座席に着いたまま踊り相手を誘うことについて

快適だった 8 9 12
普通だった 4 6 7 10 14 15
不便だった 1 2 3 5 11 13
日本でやるべきだ 2 7 9 12
日本で有り得る 3 4 10 13 14 15
日本ではいらない 1

※コメント
3(現状は難しい)
7(社交のように前まで行って合図は良くない)
13(けど難しいのでは・・・)

☆筆者談:概ね不評。今後可能性はあるが、慣れることが必要。やり方を教わる場もあって良いと思う。


□自分で飲み物を取りにいかないことについて

快適だった 8 9 11
普通だった 2 3 6 12 14 15
不便だった 4 5 7 10 13
日本でやるべきだ
日本で有り得る 2 3 4 12 14 15
日本ではいらない 7 9 10 13

※コメント
3(モッソ役が可哀相。かわいい。使い倒してやろう!!)
4(Mozaによりますが)
7(ボーイの人件費がかかり無駄だと思う)
12(本日はトライアルでしたかね・・(笑))

☆筆者談:概ね不評。「会」がお店で行われているならばやってもいいのかも。


□クンビアやフォルクローレについて

面白かった 3 4 10 11 15
まぁまぁ 2 5 6 9 13
つまらなかった 7 8 12
日本でやるべきだ 4 15
日本で有り得る 2 3 9 10 13
日本ではいらない 7 12

※コメント
7(タンゴを踊りに来ている。6時間くらいやるミロンガならあっても良いかも)
12(すみません。私はやりませぬ。)

☆筆者談:気に入った人、気に入らなかった人、大きく差があった。「会」としてやるかやらないかを明記すべきかと。


□何かアドバイスがございましたら・・・

1 カベセオに関して、距離が離れすぎているのか、相手からのリアクションがないので不便・不自由だった
4 お菓子がおいしかった
5 色々
6 最高の曲の選曲でした。サスガーです。
7 カベセオで合意するためにはお互いの踊り方/スタイルを理解する必要があるが、女性方も自分の意見を持つべき。全員着席とカベセオは良いしコルティーナも良い。但し4曲のタンダは違うテンポ/楽団で編曲する方が楽しい。
10 カベセオを取り入れたことでなかなか雰囲気の良いミロンガだった。適度な緊張感が出てよかったと思うが、個人的にはどんな顔していたらいいのかとか、間違ったらどうしよう・・・とか、ドキドキした。なれたら大丈夫かも???あとのみものは自分でとりに行けた方が気楽でよいと思った。
11 なかなかむずかしいことかもしれませんが。慣れてなくて。日本人がどこへ行っても、誘ったり誘われたりして楽しめたらステキですものネ。頑張りましょう!頑張ります。
12 とてもよい。素晴らしい試みだったと思います!周りからは多少の「戸惑い」の声も聞こえてきましたが、皆さん慣れればこちらのよさをお分かりいただけると思います。是非続けて下さい!ありがとうございます。
13 面白い企画でした。視線を合わすのが難しい場合が多いのを痛感しました。ウーン、この方式のミロンガが日本で流行るとは思いません。

2010年1月30日土曜日

タンゴが流行るための 4つの仮説

突然ですが、今日は、
「流行り事」についての4つの仮説を立ててみようと思います。

1.全くの初心者でも何となく楽しめること
2.熟練者にしか分からない特別な世界があること
3.問題のタネが少ないこと
4.テレビやインターネットなど主要なメディアで頻繁に目にすること



「タンゴ増員計画」という変な名前のコミュニティを立ち上げて、ここ5年間、
タンゴだけについては、流行り廃りや始めるきっかけ・止めるきっかけ等等分析してきたつもりでしたが、私なりにこんな4つの仮説を立てて、トピックを上げたり活動したりしています。


去年あたりから、まぁタンゴだけ見ていても気づかない事がたくさんあるなぁ、ということがはっきりしてきました。そして、サンバとか、ズークとか、サルサとか、フォルクローレとか、スィングとか、やっているうちに、目からウロコなこと、ああやっぱりここは共通なんだなということ。色々気づきます。

今日は、その中でも、ああ!やっぱりこれは流行するだろうなぁ、と思ったことに関して、出来るだけ一般的な書き方をしようと思います。

もちろん、この仮説は今から叩いていくべきもので、これが絶対的な条件だ等と訴えるつもりは全くありません。


短い文だけでは語弊が出るので少し意図をご紹介します。


1.全くの初心者でも何となく楽しめること

今のように「既に出来る人」だけが集まって議論しているだけでなく、
時には「始めたばかりの人」の目線・感覚で考えていきたいものです。


去年行ったズークのパーティ。とても衝撃でした。
全くの初心者でも楽しめる、ということは本当に大切なことだと思います。

ズークというのは、サンバとはまた別の、ブラジルのダンスの一つです。
まぁもちろん、ちょっとレッスンやっただけでは、2・3曲でマンネリの渦に巻き込まれる訳ですが、、

他のダンスも見よう見真似で楽しめる!何となく踊って喋ってれば楽しいように人間は出来ています。
どこかで聞いた曲で踊る!ぶっちゃけジャズでもJ-POPでも良いのだと思っています。

このパーティでは、こんな工夫がなされていました。
こういうところをきっかけに、
ラテン文化に興味を持った稀有な人が、それ以降も継続して踊ったり音楽を聴いたりするようになるってことが、
とても大切なことなんだと思います。


タンゴのステップ、とりあえず何となくステップが出来るようになっても・・・本当に楽しいでしょうかね?
ブエノス流のミロンガ、ほとんどの初心者にとっては敷居が高く、長い苦痛の時間かもしれません。

だから憧れのダンサーや演奏家などに自分を奮い立たせられる少数の人や、多少不純な動機が交じっている人、でないと続かない。

じゃあ、ブエノスは?そもそもブエノスで練習会なんて聞いたことないよ?
と仰られるでしょうが、そもそもブエノスとはタンゴ人口も文化も違いますからね。


※ちなみに今回ご紹介したズークのパーティ、明日も一時から両国ラキアであります。


2.熟練者にしか分からない特別な世界があること

もちろん、何でも初心者OKにすれば良いかというと、
本当を目指す人には物足りないかもしれませんから、本物志向はどっかまた別のところでやらないといけません。

最近のタンゴのコンサートなど、コテコテなタンゴよりも一歩噛み砕いた物が多いのは、
やはり一般の人には、少し優しく大衆化された物を与えないと受けないからでしょう。

それはそれで1の仮説を満たしているのですが、

それに対して、それはタンゴじゃない!と叫びたい気持ちと一緒です。


今日の日記を読まれている方は、
もうおそらくダンスなどに嵌り狂っている方が多いと思いますが、
やはり本物を感じられるから、続けているのではないでしょうか?


やはり本物は、それ自身の由来があって素晴らしいものである反面、
少し敷居が高く、それだけで自己完結できるものであるので、
本物の魅力というのは、少なくとも全くの初心者がすんなり受け入れられる物ではないはずです。

ただし、やっているうちに、なぁ~んだ、そんな物かいな、
という本物の素晴らしさを知らずに去ってしまうことも多いので、

出来るだけ客観的に、そして多様な見方を持って、「本物」のエッセンスを人々に伝える努力をすべきかと思います。

これは、今まさにやっている私達の仕事かと思います。


3.問題のタネが少ないこと

あそこに行けば、こんな楽しいことが待っている!
期待と現実がいつも一緒。それが理想です。

ですが、問題は絶えず発生しますね。


この人と、あの人は、一緒にしてはいけない。
よく聞く話ですよね。


そしてセクハラの話も、悩ましいです。
単純に行為だけでその人を否定するのは、本物を否定することでもあるでしょう。
元々タンゴなんて、如何わしいダンスですもんね。

しっかりしたルールやモラルがあって、それがちゃんと定義されていれば、
「体が密着したダンスを踊るくせに多少揉んだからセクハラなどと騒ぐな」などという
オッサン・オバハンは存在しないはずなのです。
(まぁ実際のところ、このパーティは「ここまで揉んでもOKです」などとは書かないでしょうけど。)


やはり、そのコミュニティの内輪だけでつぶしあっていては、流行するはずも無いですからね。


4.テレビやインターネットなど主要なメディアで頻繁に目にすること

インフルエンザなどの疫病とは違って、人間の行動に関する「流行」というのは、テレビやインターネットで誰もが目にする・耳にする・口にする、少なくともこれが無いと流行しません。

一方で、信憑性のある主要なメディアに取り上げられる為には、それ相応の視聴者からの期待のような物が必要です。

残念ながら、ラテン全般、まだまだテレビなんかで目にすることが少ないですね。TVで頻繁に出てくるとすれば、①社交ダンスのラテンダンス②ボサノバ③浅草サンバカーニバル辺りでしょうか。

最近、サンバのコミュニティに少しだけ顔を出していますが、それはもう運営からイベント企画、育成、招聘など全てに渡って組織化されています。そして個々の小さなグループが大きな動きとなっていきます。だから、継続してTVに出れるクオリティを保っていける。
当然、サンバカーニバルのサンバが本当のサンバかというと、それについてはサンバの断片に過ぎないし、それをうまく日本にある形で流行らせているということが重要なんでしょう。

タンゴみたいに少数の人間だけが何でも主導しているようなコミュニティには限界があるんでしょうし、これ以上の人間を巻き込んでいくためには、タンゴという原型を崩して日本的にしていく必要があるのではないでしょうか。
もちろん、前述2で言ったことがありますから、今のブエノス志向のタンゴはそのままの形で継続していけばいいと思います。

例えばタンゴにおいては、Hiroshi & Kyokoが世界チャンピオンになったというニュースはTVや新聞で取り上げられ、センセーショナルでしたね。願わくば、業界の第一人者みたいな人が夜8時のバラエティ番組に定期的に出たりすればいいなぁ。

とりあえず頼みますよ、小松亮太さんや既に有名な方々へ。